今日は、認知症についてお話したいと思います。
14年前に診療所を始めた頃は、まだ「老人性痴ほう症」という病名が一般的でした。しかし、「痴ほう」という言い方が良くないと言われるようになり、病名が「認知症」に改められました。
認知症は、老化によって発症しやすくなりますが、脳の病的変化によって起きるため、普通の「もの忘れ」とは区別する必要があります。「最近もの忘れがひどくて。私も認知症かしら?」などと言う方がいますが、体験の一部のみを忘れた場合は、普通の「もの忘れ」です。一方、体験したこと全体を忘れてしまう場合が認知症です。たとえば、朝ごはんに食べたものを正確に思い出せないのは「もの忘れ」、朝ごはんを食べたこと自体を忘れてしまうのが「認知症」という具合です。
正確に診断するには、診察の他に、頭部の画像検査が必要です。画像により、脳の委縮箇所や萎縮の程度が分かります。
専門的な話になりますが、認知症の診断基準には、アメリカ精神医学会作成の精神疾患診断統計マニュアル第4版(DSM-IV-TR)というものがあります。主な項目は次の通りです。
① 記憶障害がある。
② 失語、失効、失認、実行機能の障害が1つ以上ある。
③ 上記①・②の記憶障害・認知障害は、それぞれが社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準からの著しい低下を示す。
④ 上記①~③の障害は、せん妄の経過中に出現しているものではない。
専門用語が多いので、分かりにくいと思いますが、これを読む限り、傍から見ても「明らかに変だな」「今までと違うな」と感じるレベルです。
普通のもの忘れという場合も多いので、お年寄りがちょっと変なことを言ったからといって、「惚けたんじゃない?」とか「認知症なんじゃない?」などと安易に言わないであげてくださいね。
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