日本昔話とサルコペニア

幼いころは、おとぎ話や昔話を聞くのが楽しくて、「むかしむかしあるところに・・・」というフレーズを聞くと、わくわくしたものです。

ところで、日本の昔話には、「むかしむかしあるところに おじいさんとおばあさんが住んでいました」という書き出しで始まる物語がいくつもあります。桃太郎に舌きりすずめ、かちかち山、かぐや姫など、どのお話にも最初におじいさんとおばあさんが登場します。西洋の物語には、おじいさんとおばあさんがいきなり登場するお話は、ほとんどありません。しかも、どのお話でも、おじいさんとおばあさんは、貧しくて、ごちそうを食べているわけでもないのに、毎日肉体労働をしていながら、とても元気です。

桃太郎に出てくるおじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行っていますし、舌きりすずめのおばあさんに至っては、大きいつづらを背負って歩いています。こぶとりじいさんは夜通し踊っていますし、花咲かじいさんは木に登っています。いずれも、ものすごい体力です。

絵本の中のおじいさんとおばあさんは、現代の80歳以上の感じで描かれていますが、良く考えると、昔話の設定が江戸時代よりもっと前だとすれば、その頃は多分寿命が50年くらいなので、おじいさんとおばあさんは、40代くらいだったのかもしれません。

実際、桃太郎は、当初おじいさんとおばあさんの間に生まれたこどもという設定だったと聞いたことがあります。

昔の日本では、人々は、米や芋・豆・野菜そして川魚などを食べ、日の出とともに起きて、一日中家事や畑仕事などの肉体労働をし、日が暮れれば寝る生活をしていました。おそらく骨粗鬆症などとは無縁の体だったことでしょう。手足には、筋肉もしっかりついていたに違いありません。当時は、体が生活するための道具だったのです。

しかし、現代は、文明が発達したおかげで、家電や機械が肉体にとって変わり、体は生活の道具としての機能を失くしていきました。その結果、寿命は延びたものの、骨粗鬆症のため骨折しやすくなったり、筋肉が衰えて歩行が困難になったりする高齢者が増えてしまいました。

筋肉量が減少し、筋力や歩行速度の低下が起きることを、「サルコペニア」と言います。サルコペニアの判定基準(AWGS)によれば、65歳以上の高齢者のうち、握力低下(男性26kg以下、女性18kg以下)または、歩行速度低下(0.8m/秒)があり、筋肉量の低下があれば、サルコペニアと判定されます。サルコペニアが進むと、転倒したり、歩行が困難になるなど、要介護状態になる危険性が高まります。

そうは言っても、自分で筋力の衰えを判定するのは難しいものです。でも、普段の生活の中で、例えば、今迄開けることのできたジャムの瓶のふたが開けられなくなったり、物を移動させようとして、しっかり掴んだつもりが滑り落ちてしまったり、マーケットまで歩いて10分で行けたのに、15分かかるようになったりすることで、筋力の衰えを実感することがあるのではないでしょうか?

多くの方は、「ピンピンコロリ」、つまり死ぬ瞬間まで元気に生活することを願っていますが、そのためには、日々の努力が必要です。神頼みだけでは、筋肉量は増えません。

偏食を避け、たんぱく質をしっかり摂って、適度に日を浴びて、適度に体を動かす(特に歩く)ことを毎日続けていれば、ピンピンコロリも夢ではないかもしれません。

私も、昔話の時代なら、とっくに死んでいる年齢です。皆さまに偉そうなことを言っている場合ではないですね。ピンピンコロリを目指して、しっかり実践して参りましょう。

 

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